Perspective

一細胞の全ゲノム分子ハプロタイプ解析

Nature Biotechnology 29, 1 doi: 10.1038/nbt.1739

従来の実験的なヒトゲノム解析法には、染色体の各相同コピー上の対立遺伝子の組み合わせ、すなわちハプロタイプを個別に特定することができない、という限界がある。我々は、単一のヒト分裂中期細胞に由来する各染色体の相同コピーの分離および増幅を可能とする微小流体装置を開発した。増幅DNAの一塩基多型(SNP)アレイ解析により、HapMapプロジェクトのヨーロッパ系(CEU)家族3人および血縁関係のないヨーロッパ系個人1人の計4人を対象とする完全に確定的な全ゲノム個人ハプロタイプが得られた。対立遺伝子の相は、全検討対象の約96%ものSNPが約99.8%の精度で特定された。我々は、家族3人での組み換え発生の直接的観察、個人の欠失の確定的な相解析、個人のヒト白血球抗原ハプロタイプの直接測定などの実際的応用を行った。我々の開発した方法は、個人ゲノミクス、一細胞ゲノミクス、および統計遺伝学に応用可能と考えられる。

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