Perspective

プロテオミクス:実際的な視点から

Nature Biotechnology 28, 7 doi: 10.1038/nbt.1658

質量分析法に基づくプロテオーム技術の進化により、プロテオームの複雑で動的な特性に関する理解は進んだが、同時に、すべての生物学的疑問の解決に利用可能な「万能な」プロテオミクス法は存在しないことが明らかになってきた。タンパク質複合体の分析法などのいくつかの技術は成熟し、広く応用されて大成功をおさめているが、バイオマーカー探索を目的とする網羅的で定量的なタンパク質発現解析などの技術は、未だに少数の専門的な研究室から外に出て来ない。本論文では、考えられるさまざまなプロテオミクス法を要約し、特定の種類の生物学的疑問の提起と解決に適したコンパクトな技術基準を作成しようと試みた。また、生物学的試料の複雑さと適切な分析方法を選ぶことの難しさの関係を議論することにより、現在広く利用可能なプロテオミクス分野と、大幅な技術的・概念的進歩を必要とする分野とを対比させた。我々は、本論文が専門家以外の人々にとって、プロテオミクスの実験で実際にどんなことがわかるのかを正確に予想し、計画および実行方法を正しく判断する指針となることを期待している。また、プロテオミクスで最も一般的な技術について詳細に説明する補遺を作成した。

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