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カイコの一塩基分解能メチロームが希薄なエピゲノムマップを明らかにする

Nature Biotechnology 28, 5 doi: 10.1038/nbt.1626

昆虫では、さまざまな生物学的プロセスに後生的調節が作用している可能性がある。今回我々は、モデル昆虫のカイコ(Bombyx mori)のメチロームを、イルミナ社の高処理能バイサルファイト配列解析法(MethylC-Seq)を利用して、一塩基対の分解能で検討した。少なくともゲノムシトシンの0.11%がメチルシトシンで、そのすべてがCGジヌクレオチドに存在すると考えられる。CGメチル化はほとんどが遺伝子本体に集中しており、遺伝子発現レベルと正の相関をもっていたことから、遺伝子の転写を促進する役割をもつことが示唆される。転移因子、プロモーター、およびリボソームDNAはメチル化レベルが低いが、遺伝子本体の小RNAに相当するゲノム座は高密度にメチル化されていることがわかった。本研究は、昆虫の後生学の理解に寄与するとともに、シロイヌナズナおよびヒトの高メチル化ゲノムに関する先行研究とは対照的に昆虫などメチル化レベルが低い生物のエピゲノムの解析法を示している。

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