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薬剤誘発性腎障害検出用マーカーとしての尿中クラステリン、シスタチンC、β2ミクログロブリン、および総タンパク質量

Nature Biotechnology 28, 5 doi: 10.1038/nbt.1622

薬剤誘発性腎障害が早く確実に検出されるようになれば、臨床治療が改善され、医薬品開発が効率化されると考えられる。血液尿素窒素(BUN)や血清クレアチニン(SCr)など、現在利用されている腎機能監視用の指標は、腎障害の後期の指標であるため、我々は、薬剤誘発性の腎障害および肝障害の検出に関してすでに発表されている4種類の腎毒性マーカーの可能性を厳密に評価する非臨床試験を10件実施した。近位尿細管障害の検出では尿中クラステリンがBUNおよびSCrに勝っていた一方、糸球体障害の検出では尿中総タンパク質量、シスタチンC、およびβ2ミクログロブリンにBUNおよびSCrを上回る診断能が認められた。遺伝子およびタンパク質の発現解析、in situハイブリダイゼーション、および免疫組織化学試験からは、この4種類の腎障害検出用マーカーを利用して医薬品開発に関する規制当局の意思決定を導くことを支持する機構的証拠が得られた。こうしたバイオマーカーの能力がEMEAおよびFDAによって認識されれば、腎安全性の監視が大きく改善されると考えられる。

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