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miR-10bの治療的サイレンシングはマウス乳房腫瘍モデルの転移を阻害する

Nature Biotechnology 28, 4 doi: 10.1038/nbt.1618

マイクロRNA(miRNA)は、転移の制御と関連づけられることが多くなってきている。転移抑制治療の標的となる可能性をもつが、現時点では齧歯類および非ヒト霊長類の正常組織でサイレンシングされているのみである。したがって、腫瘍miRNAの配列特異的阻害の有効な方法の開発は、基礎研究および臨床上の大きな課題である。今回我々は、化学修飾した抗miRNAオリゴヌクレオチドであるmiR-10b antagomir(miRNA阻害剤)を担腫瘍マウスに全身投与すると、乳がんの転移が抑制されることを明らかにした。in vitroおよびin vivoのいずれでも、antagomirによるmiR-10bのサイレンシングは、miR-10bレベルを大幅に低下させ、機能的に重要なmiR-10b標的であるHoxd10を増加させた。高転移性細胞を有するマウスにmiR-10b antagomirを投与すると、原発性乳房腫瘍の増殖は抑制されないが、肺転移の形成は配列特異的に強く抑制される。miR-10b antagomirは、正常個体の忍容性に優れているため、新たな転移抑制剤の開発で有望な候補と考えられる。

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