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懸濁液中でのヒト胚性幹細胞の誘導、増殖、および制御された分化

Nature Biotechnology 28, 4 doi: 10.1038/nbt.1616

未分化のヒト胚性幹細胞(hESC)の培養は、現在、単層コロニーのような比較的小さな規模で行われている。浮遊凝集体としてのhESCの培養は、胚様体への分化誘導に広く用いられている。今回我々は、フィーダー細胞およびマイクロキャリアを含まない懸濁培養条件下で、浮遊する内部細胞塊からhESC株が誘導されることを明らかにした。この培養系は、胚様体への分化を伴わず、浮遊細胞塊としての多能性幹細胞の長期的増殖に資する。懸濁液中で凝集体として培養されたhESCは、多能性マーカーの発現を維持し、in vitroおよびin vivoのいずれでも3胚葉から生ずる細胞に分化する能力をもつ。さらに、懸濁液中のhESC細胞塊からは、ニューロスフェアへの制御された分化が生じた。今回の結果は、懸濁培養hESCの大規模な増殖および制御された分化に道筋をつけるものであり、基礎および応用研究に有益であろう。

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