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シャペロン介在性オートファジーを利用した変異型ハンチンチンタンパク質の選択的分解

Nature Biotechnology 28, 3 doi: 10.1038/nbt.1608

ハンチントン病(HD)は、伸長ポリグルタミン(polyQ)鎖をもつ変異型ハンチンチンタンパク質(HTT)の蓄積によって引き起こされる優性遺伝性の疾患である。ポリグルタミン結合タンパク質1(QBP1)は、伸長polyQ鎖には結合するが、正常なHTTのpolyQモチーフには結合しないことが知られている。そこで、2コピーのQBP1と2種類の熱ショックタンパク質HSC70結合モチーフからなる融合タンパク質を細胞およびHDモデルマウスで発現させることにより、変異型HTTを選択的な分解へ導いた。この融合タンパク質を発現する培養細胞での変異型HTTの特異的な分解は、シャペロン介在性オートファジーを介していた。この融合タンパク質を発現するウイルスを線条体内に注入することにより、HDモデルマウスR6/2の病状が改善した。HSC70結合モチーフと適切な構造特異的結合性をもつ分子とを融合させた同様の連結分子は、伸長polyQ鎖に基づく疾患以外のタンパク質の折りたたみ異常が原因となる疾患の治療にも利用される可能性がある。

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