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エネルギー代謝をミトコンドリア呼吸から解糖に変化させる薬物の栄養感受性スクリーニング

Nature Biotechnology 28, 3 doi: 10.1038/nbt.1606

多くの細胞は、酸化的代謝に対する解糖への依存性を変化させる能力をもともと有しており、モデル系を用いた研究では、そのような変化を標的とすることが、がんから虚血障害までさまざまな疾患の治療または予防に有用である可能性が示されている。しかし現時点では、両経路の相対活性を変化させる機構的に異なる薬剤群の数は限られている。我々は、そのような化合物のスクリーニングを、3,500種類を超える小分子を対象に、唯一の糖供給源としてガラクトースまたはグルコースのいずれかを含む培地を用い、ヒト線維芽細胞の増殖および生存能を選択的に抑制する能力を評価することによって行った。その結果、典型的な阻害剤とは異なる機構でミトコンドリア呼吸を抑制する制吐薬メクリジンを含め、エネルギー代謝とは関係が指摘されたことのない複数の臨床薬が選択された。さらに、マウスモデルでは、メクリジンの前投与が虚血再灌流障害から心臓および神経を保護することも明らかにされた。栄養感受性スクリーニングは、エネルギー代謝に関する遺伝子機能および薬物作用を理解するための有用な枠組みとなる可能性がある。

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