Perspective

抗原結合のpH依存的な改変による抗体のリサイクルは抗原中和の持続時間を延長する

Nature Biotechnology 28, 11 doi: 10.1038/nbt.1691

抗体が血漿中に存在している間にそれぞれの抗原結合部位が結合する抗原分子は1つだけである場合が多い。抗原への結合とリソソームでの分解のサイクル数を増やすため、我々は、抗IL-6受容体(IL-6R)抗体であるトシリズマブ(アクテムラ)を、血漿中(pH 7.4)でのIL-6Rとの結合親和性を維持しながらエンドソームの酸性環境下(pH 6.0)でIL-6Rから速やかに解離するように改変した。正常マウスおよびヒトIL-6R発現マウスを用いた研究により、エンドソームの酸性環境下でのこうしたpH依存的なIL-6Rの解離が、それまで結合していたIL-6Rのリソソームでの分解を引き起こす一方で、遊離した抗体は血漿中に戻されて別のIL-6R分子と結合することが示唆された。カニクイザルを用いると、pH依存的に抗原に結合する抗体では薬物動態およびC反応性タンパク質抑制の持続時間が著明に改善されたが、親和性を向上させた抗体変異体では改善がみられなかった。治療用抗体とその標的との相互作用をpH依存的に改変することにより、抗体の投与頻度または用量を低減することが可能になると考えられる。

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