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MaxQuantは高いペプチド同定率、個別化されたppb範囲の質量精度、およびプロテオーム規模のタンパク質定量を可能にする

Nature Biotechnology 26, 12 doi: 10.1038/nbt.1511

ペプチド同定およびタンパク質定量用にきわめて大量の未処理データを効率よく解析することは、質量分析法(MS)によるプロテオミクスの主要な課題である。本論文で紹介するMaxQuantは、高分解能の定量的なMSデータ専用に開発された統合的なアルゴリズムのセットである。MaxQuantでは、相関解析およびグラフ理論を用いることにより、ピーク、同位体クラスター、および安定アミノ酸同位体標識(SILAC)ペプチド対が、m/z、溶出時間、およびシグナル強度の空間内で三次元的に検出される。複数の質量測定値を組み合わせて線型および非線型的な質量のずれを補正することにより、ppb範囲の質量精度が得られた。これは標準的な方法の6倍である。同位体と不完全切断状態の明確な割り当て、および個々の質量の精度により、SILACペプチド対は断片化スペクトルの同定率が73%に向上した。MaxQuantは、SILAC-プロテオーム実験1回当たり数十万個のペプチドを自動的に定量し、哺乳動物細胞溶解物中の4,000個を超えるタンパク質の統計的に確実性のある同定および定量を可能にする。

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