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腫瘍の抗VEGF治療に対する不応性にはCD11b+Gr1+骨髄細胞が関与する

Nature Biotechnology 25, 8 doi: 10.1038/nbt1323

血管内皮増殖因子(VEGF)は、正常か異常かを問わず血管成長に不可欠な調節因子である。VEGFを標的とするモノクローナル抗体(mAb)は、マウスのがんモデルおよびヒト患者で腫瘍の増殖を抑制する。我々は、抗血管新生療法に対する腫瘍の不応性に関与する細胞および分子レベルの変化を検討した。先天性の抗VEGF不応性は、CD11b+Gr1+骨髄細胞の腫瘍組織への浸潤に伴うものである。この骨髄細胞の補充は不応性の付与にも十分である。抗VEGF治療に骨髄細胞を標的とするmAbを併用すると、不応性腫瘍の増殖は抗VEGF治療単独の場合と比べて効果的に阻害される。不応性腫瘍をもつマウスの骨髄から単離されたCD11b+Gr1+細胞の遺伝子発現解析の結果、骨髄細胞の活発な動員および補充に関与することが知られている一連の遺伝子群が高発現していることがわかった。今回の結果から、我々のモデルでは、抗VEGF治療に対する不応性が、腫瘍が CD11b+Gr1+細胞を感作して補充する能力によって決定されていることが示された。

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