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国際幹細胞イニシアチブによるヒト胚性幹細胞株の特性解析

Nature Biotechnology 25, 7 doi: 10.1038/nbt1318

国際幹細胞イニシアチブでは、世界各地の17研究施設から集めたヒト胚性幹細胞株59種類を対象に特性解析を行った。多様な遺伝子的背景のもとさまざまな技術を用いて樹立および維持が行われたが、ヒト胚性幹細胞マーカーの発現パターンはいずれの細胞株も類似していた。対象とした細胞株は糖脂質抗原のSSEA3およびSSEA4、ケラタン硫酸抗原のTRA-1-60、TRA-1-81、GCTM2およびGCT343、タンパク質抗原のCD9、Thy1(別名CD90)、組織非特異的アルカリホスファターゼおよびHLAクラス1、さらには発生過程で強い制御を受ける遺伝子であるNANOGPOU5F1(旧称OCT4)、TDGF1DNMT3BGABRB3およびGDF3を発現していた。しかし、細胞株の間には差も認められた。複数の細胞系譜マーカーの発現に差が確認され、複数の刷り込み遺伝子に関しては対立遺伝子特異的な発現パターンが概して類似しているものの、遺伝子によっては若干の変動が認められた。また雌性細胞株には容易に検出されるレベルのXISTを発現するものとそうでないものがあった。マイコプラズマ、細菌および細胞変性ウイルスの有意な混入はどの細胞株でも検出されなかった。

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