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肺内皮越しに標的抗体を迅速かつ特異的にポンプ輸送するカベオラの生体内動的撮像

Nature Biotechnology 25, 3 doi: 10.1038/nbt1292

内皮カベオラのトランスサイトーシス(経細胞輸送)は、in vivoでの効率および速度が明らかにされていないが、その情報は機能および臨床上の有用性を理解する上で重要である。本研究では、定量的プロテオームを用い、肺内皮のカベオラに濃縮されているアミノペプチダーゼP(APP)を同定した。これは電子顕微鏡で確認され、APP抗体がナノ粒子をカベオラに向かわせていることがわかった。動的生体蛍光顕微鏡法により、標的のカベオラが実際上ポンプとして作動し、数秒のうちに抗体を血液から内皮越しに肺組織内へ運ぶことが明らかにされた。この現象は濃度勾配に逆行する場合もある。この能動的なトランスサイトーシスには、正常なカベオリン1の発現が必要である。全身γシンチグラフィ画像法では、標準的な血管標的化と比較してはるかに迅速かつ特異的に肺への輸送が行われることが明らかにされた。このin vivoのカベオラ輸送は、選択的な経脈管交換のための重要な生理学的機序を浮き彫りにし、造影剤、薬物、遺伝子療法ベクター、およびナノ医薬品用の輸送システムを改善する可能性がある。本論文に示す「in vivoプロテオーム撮像」は、細胞小器官のプロテオミクスに複数の画像化技術が組み合わされており、カベオラの経脈管ポンプ輸送空間のように有用な標的空間を同定することができる。

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