Analysis

リガンドの化学的性質によるタンパク質の薬理作用の関連づけ

Nature Biotechnology 25, 2 doi: 10.1038/nbt1284

生物学的情報に基づくタンパク質機能の同定は集中的な研究が行われている分野のひとつである。本研究では、タンパク質に関してリガンドの化学的類似性に基づいて定量的に分類および関連づけを行う補助的方法を検討した。我々は数百種類の薬物標的にアノテートされている65,000個のリガンドからなるセットで検討を始めた。各セットの類似性スコアはリガンドのトポロジーを用いて算出した。得られた類似性スコアの有意性を順位づけるため、各セットをひとつの最小全域木としてマッピングする統計モデルを開発した。このマップの関連づけは化学的類似性のみに基づくものであったが、生物学的に意味のあるクラスターが見出された。また予想外の標的の関連性も明らかになった。なかでもメタドン、エメチンおよびロペラミド(イモジウム)は、ムスカリンM3受容体、α2アドレナリン受容体およびニューロキニンNK2受容体に対してそれぞれ拮抗作用を示すと考えられた。この予測は後から実験的に確認された。リガンドの化学的性質によって受容体の関連性を検討することで、リガンド自体を用いて評価される予想外の関連性が明らかにされ、生物学的な体系化が行われる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度