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ヒト胚性幹細胞に由来する神経堤幹細胞の単離および定向分化

Nature Biotechnology 25, 12 doi: 10.1038/nbt1365

脊椎動物の神経堤の発生は、多能性および遊走性をもつ前駆細胞に依存している。鳥類およびマウスでは神経堤幹(NCS)細胞が同定されているが、ヒトNCS細胞は未だ単離されていない。本論文では、神経のロゼット期にヒト胚性幹細胞からNCS細胞が誘導されたことを示す。我々は、クローン密度で播種したNCS細胞から神経堤細胞系列が複数生ずることを明らかにした。ヒトNCS細胞はin vitroで増殖可能であり、末梢神経系細胞系列(末梢神経細胞、シュワン細胞)および間葉細胞系列(平滑筋細胞、脂質生成細胞、骨原性細胞、および軟骨形成細胞)に方向づけることができた。ヒトNCS細胞を発生中のニワトリ胚および成体マウス宿主に移植すると、神経堤の同一性を損なわない生存、遊走、および分化が認められた。ヒトNCS細胞を無限に使用することができれば、神経堤の発生に関する研究および神経堤関連障害をモデル化して治療する研究の機会が新たに生まれる。

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