Perspective

発作性夜間血色素尿症治療のための補体阻害薬エクリズマブの発見と開発

Nature Biotechnology 25, 11 doi: 10.1038/nbt1344

補体系は免疫防御および免疫調節というきわめて重要な機能を担っているが、統制されていない補体の活性化は重篤な病状を引き起こす場合がある。稀な溶血性疾患である発作性夜間血色素尿症(PNH)では、体細胞変異により、終末補体抑制因子CD59など造血幹細胞上のグリコシルホスファチジルイノシトール結合型表面タンパク質が欠損する。骨髄が機能不全に陥ると、その変異型前駆血液細胞が増殖して末梢まで広がる。PNH赤血球のCD59欠損は、慢性の補体介在性血管内溶血を引き起こす。これは、PNH の罹病および死亡の中心的過程である。最近開発された補体成分C5に対するヒト化モノクローナル抗体エクリズマブ(ソリリス;アレクシオン製薬社、米コネチカット州チェシャー)は、終末補体活性化が示す炎症誘発および細胞溶解の作用を遮断する。PNH治療用の補体阻害薬として近頃エクリズマブがはじめて承認されたことは、補体阻害が効果的な治療法であるという考え方を裏づけており、補体が役割を担っている他の適応症を研究するためのよりどころとなる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度