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転写因子c-Junの標的化による血管透過性および炎症の抑制

Nature Biotechnology 24, 7 doi: 10.1038/nbt1225

従来の消炎法には多様な副作用があり、新たな標的療法が求められている。本論文では、塩基性領域をもつロイシンジッパータンパク質c-Junを触媒DNA分子Dz13でノックダウンすると、血管透過性、炎症、急性炎症および慢性関節リウマチのネズミモデルで白血球の血管透過性および経内皮遊出が抑制されることを示す。マウスでは皮膚アナフィラキシー試験またはVEGF投与に伴う血管透過性がDz13投与で抑制された。またin vitroでは単球と内皮細胞との接着が抑制され、炎症ラットモデルでは白血球のローリング、接着および管外遊出が阻害された。内毒素投与マウスの肺(急性炎症モデル)では好中球浸潤が抑制された。さらに慢性関節リウマチのマウスモデルでは関節腫脹、炎症細胞浸潤および骨びらんが抑制された。機構的研究では、内皮のサイトカイン誘導性のc-Jun、E-セレクチン、ICAM-1、VCAM-1およびVE-カドヘリンの発現がDz13によって遮断されたが、JAM-1、PECAM-1、p-JNK-1およびc-Fosには影響が認められなかった。今回の知見はc-Junが抗炎症療法の標的として有用であることを示している。

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