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共翻訳的トランスロケーションを誘導するシグナル配列はファージディスプレイの対象タンパク質の範囲を広げる

Nature Biotechnology 24, 7 doi: 10.1038/nbt1218

細菌内で良好に折りたたまれるタンパク質でも、繊維状ファージに十分提示されないものは多い。ファージがタンパク質を十分に提示しないのは、細胞質での折りたたみの不完全さが原因である可能性があるが、これはペリプラズムへのトランスロケーションの効率低下につながる。トランスロケーションはファージ粒子形成の中間段階であるため、我々は別々のシグナル配列を用い、異なるトランスロケーション経路で種々のタンパク質の提示レベルを検討した。共翻訳的なシグナル認識粒子(SRP)トランスロケーション経路にタンパク質を誘導すると、一般的な翻訳後Secトランスロケーション経路への誘導と比較して提示レベルがはるかに高くなった。たとえば、設計アンキリン反復タンパク質(DARPin)の提示レベルは、シグナル配列をSec依存性からSRP依存性に代えるだけで700倍も向上した。モデル実験では、このシグナル配列交換でファージディスプレイの濃縮率がファージディスプレイ選択1回あたり10倍から1000倍超に高まった。「SRPファージディスプレイ」と命名したこの方法は、特にcDNAライブラリーの提示、または別の足場のライブラリーに由来するきわめて安定で迅速に折りたたまれるタンパク質の提示に広く応用可能と考えられる。

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