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統計学的パターンマッチングは炭疽菌毒素およびコレラ菌毒素の多価阻害剤の設計を容易にする

Nature Biotechnology 24, 5 doi: 10.1038/nbt1204

標的タンパク質または表面がもつ結合部位の特異的パターンの認識は、さまざまな生物学的プロセスに必要とされている。異常な足場によって表示されたリガンドは特異的なパターンではなく確率論的なパターンを形成するが、理論モデルでは、統計が類似、または「マッチ」するという特徴をもつパターンの間で認識が行われるものと予測されている。人工的な生体模倣構造に統計学的パターンマッチングの能力を与えれば、センサーの特異性および分離プロセスの分解能が改善される可能性がある。本論文では、統計学的パターンマッチングによって多価治療薬の有効性が向上することを示す。リポソームをさまざまな密度の阻害ペプチドで機能化し、炭疽菌毒素の七量体成分がもつリガンド結合部位間の距離と一致するペプチド間距離で有効性の変化を観察した。パターンがマッチした多価リポソームは、in vitroでは対応する一価ペプチドと比較して4桁低い濃度で炭疽菌毒素を阻害し、in vivoではこの毒素を中和した。さらに、コレラ菌毒素の多価阻害剤の有効性も統計学的パターンマッチングで向上した。この簡単な方式は、毒素および病原菌の検出および中和に広く応用可能なものと考えられる。

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