Review

組換え型抗体断片および台頭する単一ドメイン

Nature Biotechnology 23, 9 doi: 10.1038/nbt1142

モノクローナル抗体(mAb)製品は現在18種類が販売され、100種類以上が臨床試験中であることから、組換え型抗体は間違いなくバイオ医薬品として成熟期を迎えている。事実、2008年にはバイオテクノロジー市場の総収入の30%以上を組換え型抗体が占めると予測されている。現在は小型の組換え型抗体断片(従来の一価抗体断片(Fab, scFv)など)および組換え型変異体(二重特異性抗体、三重特異性抗体、ミニ抗体および単一ドメイン抗体)が確かな選択肢として注目されている。このような断片は完全なmAbの標的特異性を保持しているが、生産にかかるコストが低く、それ以外にも独特で優れた特性をもつために診断および治療への幅広い応用に適している。抗体断片は結合価および特異性を複数もつ試薬となり、治療用の作用物質(放射性核種、毒素、酵素、リポソームおよびウイルスなど)と結合され、治療効果が向上するよう組み換えられている。最近では酵素、受容体および病原体がもつこれまで免疫反応に関与していなかった空洞を標的とする試薬として、単一の抗体ドメインの作製および選別が行われている。単一ドメイン抗体により、プロテオミクスで発見されているさまざまな新規のバイオマーカーに対する抗体試薬が大幅に増加することが期待される。この総説で示すように、あらゆる抗体断片には、強固な診断試薬(バイオセンサー用など)として、または優れた体内分布性および血中クリアランス特性をもち免疫原性がないin vivoのバイオ医薬品として、きわめて大きな可能性がある。

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