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臨床用キナーゼ阻害薬のための低分子−キナーゼ相互作用地図

Nature Biotechnology 23, 3 doi: 10.1038/nbt1068

キナーゼ阻害薬は新たな治療薬として有望視されている。本論文では、キナーゼのATP結合部位と低分子との結合を測定してキナーゼ阻害薬の特異性を効率的に評価する方法を紹介する。評価したキナーゼ阻害薬は、承認済みおよび臨床試験中の16種類を含む20種類であり、対象としたタンパク質キナーゼは119種類であった。特異性には大きな差があり、標的の化学構造および種類との強い相関は認められないことがわかった。p38阻害薬BIRB-796とイマチニブ耐性変異型ABLキナーゼとの強力な結合、およびイマチニブとSRCファミリーのキナーゼLCKとの結合など、多数の相互作用が新たに同定された。また、ゲフィチニブ応答患者にみられる上皮成長因子受容体(EGFR)の変異がゲフィチニブおよびエルロチニブ(erlotinib)の結合親和性に影響しないことも示された。本研究によって、タンパク質が多数関係する臨床用化合物のための体系的な低分子−タンパク質相互作用地図が得られた。

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