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E3の標的化による機能的イオンチャネルツールの作製

Nature Biotechnology 23, 10 doi: 10.1038/nbt1148

イオンチャネル阻害剤を作製するための戦略を紹介する。この戦略は、チャネルの第3細胞外領域(E3)を標的とするパターン認識法とともに抗体の特異性を利用するものである。この概念を裏づけるため、我々はまず一過性受容器電位(TRP)カルシウムチャネルファミリーに属するTRPC5に注目した。従来これに関する研究は薬理学的なツールの不足のために進んでいなかった。E3を標的とする抗TRPC5抗体を細胞外で用いると、特異的なTRPC5阻害剤が得られてTRPC5がきわめて近縁のファミリーメンバーと区別されるようになり、比較的扱いにくい生理学的システムの中でTPRC5機能を探究することが可能となった。さらに、E3の標的化を電位依存性ナトリウムチャネルに用いると、Nav1.5のサブタイプ特異的阻害剤が発見された。こうした例は、さまざまな種の細胞または組織のルーチンアッセイに用いるための遺伝子型特異的イオンチャネル阻害剤を作製する系統的な方法としてE3の標的化に潜在性があり、治療上有望であることを裏づけるものである。

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