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G1期停止およびS期チェックポイント機能に関して14-3-3がもつ時間的役割をケージドリン酸化ペプチドで解明する

Nature Biotechnology 22, 8 doi: 10.1038/nbt997

機能が重複するタンパク質群に関してモジュール型のリン酸化ペプチド結合領域を古典遺伝学的に研究することは、ノックアウトされた遺伝子の産物を当該領域ファミリー内の別遺伝子が補う場合には困難である。本論文では、紫外線で活性化可能なケージドリン酸化ペプチドを用いてこの限界を克服する化学遺伝学的方法を紹介する。ケージドリン酸化セリン残基を共通モチーフに組み込むことによって、この化合物はリン酸化セリンおよびリン酸化スレオニン結合領域ファミリーの全タンパク質を一斉に不活性化する。この不活性化は迅速で時間調節的である。我々はこの方法で14-3-3タンパク質が細胞周期制御で果たす包括的機能を解析した。紫外線照射によるケージドリン酸化ペプチドの活性化で内因性タンパク質は14-3-3と結合しなくなり、細胞周期開始の早発、間期停止状態からのG1細胞の解放、およびDNA損傷後のS期チェックポイントの欠損が引き起こされ、細胞死が多数生じた。この種の化合物をSH2、Polo-box、および縦列型BRCT領域などほかのリン酸化ペプチド結合領域に適用すれば、キナーゼ依存性シグナル伝達経路の分子機構の解明が大いに促進されるであろう。

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