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Hsp90阻害剤に応答したHER2分解の薬力学の画像化

Nature Biotechnology 22, 6 doi: 10.1038/nbt968

主要なシグナル伝達経路を阻害する治療用阻害剤の開発は、患者体内で薬物が標的に及ぼす影響を評価することができないため進展してこなかった。17-アリルアミノゲルダナマイシン(17-AAG)は、初めて臨床試験が行われているHsp90阻害剤である。これはHER2をはじめとするHsp90標的物質の分解を引き起こす薬物であり、前臨床モデルで抗腫瘍活性を示した。我々は17-AAGによるHsp90阻害の画像化法を開発した。抗HER2抗体ハーセプチンのF(ab')2断片を陽電子放出核68Gaで標識すると、HER2発現の連続陽電子放出断層撮像が可能となった。この方法によって、17-AAGで誘導される動物腫瘍内HER2の消長が時間の関数として定量化された。この技術では目的薬物の薬力学が非侵襲的に画像化可能となり、標的阻害を利用した併用療法の合理的なデザインが促進されると考えられる。

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