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発光タンパク質をコードする細菌およびワクシニアウイルスによる生動物体内の腫瘍および転移の可視化

Nature Biotechnology 22, 3 doi: 10.1038/nbt937

我々は、生動物に静脈内注入した細菌が、固形腫瘍および転移腫瘍に入って増殖することを示した。ルシフェラーゼによる発光および緑色蛍光タンパク質の発光によって、腫瘍特異的な増殖過程が瞬時に可視化され、腫瘍および転移の位置が明らかにされた。大腸菌Escherichia coliおよび弱毒化病原体3種(Vibrio choleraeSalmonella typhimuriumおよびListeria monocytogenes)はいずれも腫瘍に入って増殖していた。細胞質基質中のワクシニアウイルスもリアルタイムの画像化で観察可能となり、腫瘍特異的増殖が認められた。この結果は、栄養要求性変異、チミジンキナーゼ遺伝子欠失ワクシニアウイルスおよび嫌気生育条件のいずれもが、腫瘍特異性および腫瘍内増殖に不要であることを示すものである。我々は、同系および同種異系の腫瘍をもつ免疫適格および免疫不全のげっ歯類動物に発光微生物を用い、腫瘍の局在を観察した。「腫瘍を発見する」性質を基盤として、細菌およびウイルスには、がんを発見および治療するための多様な遺伝子をもたせることができる可能性がある。

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