Research Highlights

近赤外蛍光を発するタイプII量子ドットを用いた前哨リンパ節マッピング

Nature Biotechnology 22, 1 doi: 10.1038/nbt920

近赤外または赤外光子の利用は、生体組織の生物医学的画像解析法にとって有望な手段である。この画像解析法には、従来の有機蛍光色素では不可能な流体力学的直径、吸収性、量子収率および安定性を合わせ持つ造影剤の投与が必要となる場合が多い。本論文では、吸収断面積を維持したままタイプII量子ドットの蛍光放射が近赤外域に調整可能であることとともに、多座ホスフィンコーティングによって量子ドットが血清中で可溶化、分散化および安定化されることを示す。さらに、この量子ドットを使用すれば、がんの重要な外科手術の一つである前哨リンパ節マッピングが、完全な画像誘導のもと大動物で実施可能となることを示す。400 pmolという少量の近赤外量子ドットを注射すれば、わずか5 mW/cm2の励起光強度で、深度1 cmに所在する前哨リンパ節がリアルタイムで容易に画像化される。総合的にみて、本研究の化学的、光学的およびin vivoのデータは、近赤外量子ドットが生物医学的画像診断に応用可能であることを示すものである。

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