Research Abstract

S-ニトロシル化はparkinの活性化を介してミトコンドリアの品質管理を制御する

S-nitrosylation regulates mitochondrial quality control via activation of parkin

2013年7月16日 Scientific Reports 3 : 2202 doi: 10.1038/srep02202

Parkinはring between ring fingersファミリーのユビキチンE3リガーゼであり、ミトコンドリアの品質管理制御に関わるとされている。最近の一連の報告で、parkinはリン酸化によるミトコンドリアへの移行により制御されていることが示唆された。しかし、parkinそのものを活性化してミトコンドリアの分解を引き起こす分子機構については、あまり分かっていない。本研究ではこれまでに知られていなかった、ミトコンドリアの分解を誘導するparkinのS-ニトロシル化部位(Cys323)を同定した。さらに我々は、parkinのS-ニトロシル化がもっぱら抑制的であるとする以前の報告とは対照的に、parkinの内因性のニトロシル化が実際にそのE3リガーゼ活性を活性化する要因であり、ミトコンドリアの凝集と分解を引き起こすことを証明した。さらに、ミトコンドリアの脱共役剤は、parkinの脱ニトロシル化を引き起こし、また脱ニトロシル化を阻害すると、ミトコンドリアの分解が回復することを明らかにした。以上の結果は、NOはミトコンドリアの品質管理への正の影響も及ぼすことを示しており、S-ニトロシル化を標的とすることは、パーキンソン病に対する新たな治療戦略となる可能性を示唆している。

小澤 健太郎1, 小松原 晃1, 2, 西村 有平3, 4, 5, 6, 澤田 知世7, 川舟 広徒1, 2, 津元 裕樹8, 辻 優一1, 趙 晶1, 京谷 陽司1, 田中 利男3, 4, 5, 6, 高橋 良輔7 & 吉栖 正典1

  1. 奈良県立医科大学 薬理学講座
  2. 京都大学大学院 薬学研究科 薬理ゲノミクス
  3. 三重大学大学院 医学研究科 薬理ゲノミクス・オミックス創薬科学
  4. 三重大学メディカルゼブラフィッシュ研究センター
  5. 三重大学生命科学研究支援センター 機能ゲノミクス分野 バイオインフォマティクス部門
  6. 三重大学新産業創成研究拠点 オミックス医学研究室
  7. 京都大学大学院 医学研究科 臨床神経学
  8. 東京都健康長寿医療センター研究所 老化機構研究チーム
Parkin, a ubiquitin E3 ligase of the ring between ring fingers family, has been implicated in mitochondrial quality control. A series of recent reports have suggested that the recruitment of parkin is regulated by phosphorylation. However, the molecular mechanism that activates parkin to induce mitochondrial degradation is not well understood. Here, and in contrast to previous reports that S-nitrosylation of parkin is exclusively inhibitory, we identify a previously unrecognized site of S-nitrosylation in parkin (Cys323) that induces mitochondrial degradation. We demonstrate that endogenous S-nitrosylation of parkin is in fact responsible for activation of its E3 ligase activity to induce aggregation and degradation. We further demonstrate that mitochondrial uncoupling agents result in denitrosylation of parkin, and that prevention of denitrosylation restores mitochondrial degradation. Our data indicates that NO both positive effects on mitochondrial quality control, and suggest that targeted S-nitrosylation could provide a novel therapeutic strategy against Parkinson's disease.

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