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患者アドヒアランスの阻害要因の克服:革新的薬物送達システムの開発への道筋

Nature Reviews Drug Discovery 22, 5 doi: 10.1038/s41573-023-00670-0

服薬アドヒアランス不良は、広く存在する問題で、かなりの健康影響と社会経済的影響をもたらしている。根本的な原因は、おおむね理解されているが、患者を中心に据えた教育とエンパワーメントに根差した従来の介入戦略は、極めて複雑で、効果の薄いことが判明している。これに代わるものとして、薬物送達システム(DDS)による医薬品製剤は、服用回数の多さ、副作用、作用発現の遅延など、アドヒアランスの数多くの一般的阻害要因を直接緩和できる方法として有望視されている。既存のDDSは、既に患者の受容性に良い影響を与えており、さまざまなタイプの疾患や介入においてアドヒアランス率を向上させている。これに対して、次世代のDDSは、例えば、生体高分子薬の経口送達、自律的な用量調節、単回投与による数用量の模倣を実現して、さらに抜本的なパラダイムシフトを引き起こす可能性がある。ただし、次世代DDSの成功は、過去のDDSの失敗につながった問題点に対処できるかどうかにかかっている。

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