Review Article

個別化がんワクチン治療のためのネオアンチゲンの特定

Nature Reviews Drug Discovery 21, 4 doi: 10.1038/s41573-021-00387-y

がん細胞における体細胞変異は、腫瘍特異的なネオエピトープを生成することがあり、こうしたネオエピトープは、宿主の自己T細胞によって識別される。ネオエピトープは、中枢性免疫寛容の対象とはならず、健常な組織では発現していないので、治療用がんワクチンの魅力的な標的である。がんの変異の大多数は個々の患者に特有のものであるため、この標的の宝庫の可能性を最大限に利用するには、個別化された治療手法が必要である。塩基配列データの変異を特定し、T細胞に識別される可能性の高い変異に優先順位を付け、どの患者にも合ったワクチンを設計するために、多くの計算アルゴリズムと機械学習ツールが開発されてきた。本総説では、T細胞によるネオアンチゲンの識別の基本的な機構の理解と、がん免疫療法のための体細胞変異の発見およびネオアンチゲン予測の計算手法の間のギャップを埋める。我々は、ネオアンチゲンの新しい分類を提示し、これによって、ある臨床状況でネオアンチゲンがどのように巧みに抗腫瘍免疫を与えるかに基づいて、監視するネオアンチゲン、抑制されるネオアンチゲン、無視されるネオアンチゲンに区別した。このような状況に基づいた分類は、ネオアンチゲンの生物学をがんの臨床状況と医学的特性に結び付ける枠組みに寄与し、ネオアンチゲンに基づく将来の治療がより大きな臨床的有効性をもたらすことを可能にするものである。

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