Perspective

創薬における予測的妥当性とは何か、なぜ重要なのか、どうすれば向上させられるのか

Nature Reviews Drug Discovery 21, 12 doi: 10.1038/s41573-022-00552-x

創薬の成功は、化学と生物学の砂漠で安全性と有効性というオアシスを発見することに似ている。疾患モデルのスクリーニングや医薬品の研究開発(R&D)で用いられるその他の意思決定ツールを利用して、これらのオアシスを発見する際には、患者における臨床的有用性と相関する方法で治療薬候補の採点が実施されるようにしなければならない。それができなければ、間違った方向に向かうことになる公算が大きい。この考え方は、意思決定理論を用いることで定量化できる。この理論において「予測的妥当性」は、それぞれの治療薬候補に関する意思決定ツールの出力と臨床的有用性との間の相関係数である。この手法に基づいた分析によれば、有力候補の検出可能性は、予測的妥当性に非常に敏感である。これは、砂漠が大きく、オアシスが小さいことによる。医薬品の研究開発では予測的妥当性の管理が不十分であることが、歴史と意思決定理論の両方から示唆されている。その理由として、とりわけ重要なのが、プロジェクトがかなり進んで成否が決まる前に予測的妥当性を測定することが非常に困難なことである。本論文では、より効果的な意思決定ツールの適用を支援し、その創出に対する投資を促進することを目指して、予測的妥当性が研究開発の生産性に与える影響を説明し、予測的妥当性の評価と向上のための方法を論じる。

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