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コバレントドラッグ創薬の進歩

Nature Reviews Drug Discovery 21, 12 doi: 10.1038/s41573-022-00542-z

コバレントドラッグ(共有結合性阻害剤)は、1世紀以上にわたって病気の治療に使われてきたが、最近になって、コバレントドラッグの合理的な設計を容易にするツールが登場した。既存のリガンドに反応性の官能基を明確な意図をもって付加すれば、さまざまながんの治療に用いられている共有結合型の上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤やブルトンチロシンキナーゼ(BTK)阻害剤によって実証されているように、標的タンパク質を強力かつ選択的に阻害することができる。さらに、「求電子化合物を優先する」手法による共有結合型リガンドの特定により、共有結合型のKRAS(G12C)阻害剤やSARS-CoV-2メインプロテアーゼ阻害剤などのコバレントドラッグの発見につながった。特に、KRAS(G12C)阻害剤の発見は、過去10年間でさらに強力になり普及した共有結合スクリーニング技術の使用の正当性を証明するものである。ケモプロテオミクスのプラットフォームが出現して、共有結合型リガンドのスクリーニングを補完し、リガンドの発見や選択性プロファイリングおよび標的の特定に役立っている。本総説では、これらのプログラムから得られた教訓と、進化するコバレントドラッグ創薬技術のツールボックスがこの分野での成功をどのように促進するかに重点を置いて、コバレントドラッグ創薬における画期的な出来事を紹介する。

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