Review Article

GPCR薬の創生:溶液NMRデータと結晶構造や低温電子顕微鏡構造の統合

Nature Reviews Drug Discovery 18, 1 doi: 10.1038/nrd.2018.180

ヒトプロテオームに存在する826種のGタンパク質共役型受容体(GPCR)は、重要な生理過程を調節するため、長い間、薬剤標的として関心を集めてきた。過去10年間に50種以上のヒトGPCRの結晶構造が決定され、GPCRを標的とする薬剤の構造に基づく合理的設計のための初めての基盤が確立されたが、現在、この設計基盤の増強が、GPCRの高次複合体の低温(クライオ)電子顕微鏡(cryo-EM)構造を用いて進められている。溶液中の核磁気共鳴分光(NMR)法は、動力学的特性を明らかにしてこの設計基盤を充実させる重要な方法の1つであり、この動力学的特性は、生理的温度で評価でき、その際の野生型GPCRの共有結合構造の修飾は最小限に抑えられる。本論文では、GPCRに高度な生化学技術とNMR技術を活用する戦略を概説し、結晶構造またはcryo-EM構造をNMR研究で補完した研究プロジェクトを概説した上で、この統合的手法がGPCR生物学と創薬に与える影響を論じる。

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