Review Article

炎症性疾患においてNLRP3インフラマソームを標的とする

Nature Reviews Drug Discovery 17, 8 doi: 10.1038/nrd.2018.97

危険(danger)シグナルは、多数のありふれた炎症性疾患の顕著な特徴で、これらの刺激は、細胞質にある自然免疫シグナル伝達受容体のNLRP3(NOD-, LRR- and pyrin domain-containing 3)を活性化するよう働くことがある。NLRP3がいったん活性化すると、インフラマソームを集合させる核となって、カスパーゼ1を介したインターロイキン1β(IL-1β)ファミリーのサイトカイン類のタンパク質分解による活性化を引き起こし、炎症性のピロトーシスによる細胞死を誘導する。NLRP3の活性化を薬理学的に阻害すると、多種多様な炎症性疾患の齧歯類モデルにおいて強力な治療効果をもたらし、こうした効果はNLRP3の遺伝子破壊によるものとよく似ている。こうした知見は、NLRP3が薬剤標的になり得る可能性をはっきりと表しているが、NLRP3の構造および活性化機構に関する理解は不十分であり、このことがこの標的に対する新規の治療薬の発見および開発を妨げている。本総説では、NLRP3の活性化および調節に関する我々の理解における最近の進展について概説し、NLRP3を調節するさまざまな物質の発展する全体像を浮かび上がらせる他、新規の低分子を用いてNLRP3を薬理学的に標的とする機会についても議論する。

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