Review Article

創薬および治療におけるCRISPR–Casの基礎

Nature Reviews Drug Discovery 16, 2 doi: 10.1038/nrd.2016.238

CRISPR–Cas系は、ゲノム編集および調節のために容易に利用することのできるプログラム可能なツールとして最近発展しており、生物学の大変革をもたらしている。基準ゲノム塩基配列情報および個別化ゲノム塩基配列情報の急速な拡大と合わせて、CRISPR–Casに基づいたさまざまな技術によって、ヒトの細胞などこれまで困難だった状況でさえ、ほぼ無制限な遺伝子操作が可能になっている。メンデル型遺伝病の治療にCRISPR–Casを適用できる可能性が大きな注目を集めてきたが、この技術は複雑な遺伝性疾患や体細胞疾患の治療法の開発に変革をもたらすと期待されている。本総説では、CRISPR–Casが、価値の高い標的の発見と検証を促進し、信頼度の高いバイオマーカーを見いだし、他と区別される画期的な治療法を開発することで、次世代の創薬にどのように影響し得るかを論じる。また、この革新的な遺伝子編集技術の将来性、陥りやすい誤りや障害に焦点を合わせ、さまざまなCRISPR–Casスクリーニングプラットフォームの重要な側面について論じ、ゲノム工学における最良の実践に関する我々の見通しを示す。

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