Research Highlights

自己組織化:糖類の結合

Nature Nanotechnology 2019, 619 doi: 10.1038/s41565-019-0479-x

核酸、タンパク質、糖類の自己集合構造は、天然の系の根幹をなしている。オリゴヌクレオチドやオリゴペプチドでできた、似ているがより単純な自己集合系が設計され作製されているが、オリゴ糖の自己集合は難しかった。今回Yuたちは、二量体から六量体までの特定のオリゴ糖が、自己集合ナノ構造を同様に形成できることを示している。

著者たちは、化学修飾と長さが異なる一連のオリゴ糖を合成した。そして、1,4グリコシド結合を通して結合する構造は、この種の結合がオリゴマーのコンホメーションの自由度を制限するため、自己集合しないことが分かった。一方、1,6結合オリゴ糖は、長さと化学修飾に依存してナノサイズの球体や針を生じ得る。自己集合構造は、広い水素結合ネットワークが形成されることで生まれる。π–πスタッキングの寄与は、特定の有機溶媒と特定の試料調整プロトコルを用いた場合に限って関連があった。オリゴ糖の蛍光スペクトルは、積層構造の形成とも一致していた。

明確な自己集合挙動を持つオリゴ糖を設計できることによって、生物に着想を得た材料のツールキットが増え、天然の系における糖類の分子間相互作用に光が当たる。

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