Research Highlights

量子技術:書き込みと消去

Nature Nanotechnology 2019, 519 doi: 10.1038/s41565-019-0456-4

二次元(2D)の強誘電材料を接触面に使って、電界効果トランジスター(FET)や、誘電体の分極反転によって隣接する2D材料のコンダクタンスが変化するスイッチング可能なトンネル接合などのデバイスを作製できる。今回Liaptovたちは、こうした2種類のデバイスを組み合わせて、プログラマブルFETを作製している。このデバイスでは、MoS2単層のコンダクタンスを、その下にある強誘電体層に1つあるいは複数の明確な伝導チャネルを書き込むことによって、可逆的に調節する。

このデバイスは、強誘電体Pb(Zr,Ti)O3(PZT)層と、その上にある単層MoS2の薄片からなっている。そして、MoS2の上にある2個の電極が、ソースとドレインになる。PZT層の分極によって、MoS2の導電率が決まり、ひいてはFETの状態が決まる。ソースとドレインの間の電流は、2個の電極の間をつないでいるコンダクタンスの高いチャネルの数に依存する。著者たちは、MoS2を通して走査型プローブ顕微鏡(SPM)の導電性ティップに印加された電圧パルスを使って、低抵抗領域(R)を書き込んだり消去したりできた。全体的なコンダクタンスの変化は特別大きいわけではないが、1つや2つのチャネル、さらにはもっと多くのチャネルを書き込み、消去し、再書き込みできるとともに、複数の電極をフレキシブルなチャネルで接続できる可能性があることから、メモリスター機能や、この段階では推測にすぎないが人工シナプスへの応用に、この方法は興味深い。

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