Research Highlights

量子技術:線の中を動く

Nature Nanotechnology 2019, 419 doi: 10.1038/s41565-019-0432-z

半導体量子ドットでできたキュービットには、将来の量子コンピューティングのプラットフォームになる可能性がある。忠実度の高い量子ゲートは実証されているが、例えば量子レジスターで用いる、そうしたキュービットの遠距離結合はまだ困難である。Millsたちは今回、単一電子を制御して量子ドットの直線アレイの中を往復させる方法を示している。 著者たちは、先進的なゲート構造によってSi/SiGeヘテロ構造体の中に9個のSi量子ドットを作った。そして、3個の電荷センサーを使って、9次元の電荷安定性空間をマッピングした。量子ドットの化学ポテンシャルを調整し、トンネル障壁を結合することで、隣り合う量子ドット間で単一電子の制御された移動が可能になる。さらに、物理的なゲート電圧に基づく制御方式から仮想ゲート方式に移行させると、量子ドット間のクロストークが大きく減少し、アレイ内の数個の電子を別々に制御できるようになった。 次にMillsたちは、このアレイを通して単一電子を約50 ns以内にどちらかの方向に移動させる制御シーケンスを設計した。より複雑なシーケンスを使うと、常に1個以上の空の量子ドットを間に挟んで、2個か3個の電子をこのアレイを通して同時に動かすことができた。

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