Research Highlights

量子光学:量子タイプライター

Nature Nanotechnology 2019, 219 doi: 10.1038/s41565-019-0387-0

優れた単一光子源(SPE)は、デバイスの特定の場所から、単一の識別できない光子を要求に応じて高速で生成しなくてはならない。二次元材料は、フォトニック回路に集積しやすく、フォトニック導波路や共振器との効率の良い結合が可能になるため、SPEの魅力的なホストである。さらに、遷移金属ダイカルコゲナイドでは、局所ひずみによってSPEが生じることがある。しかし、正確な位置決めは困難である。

Rosenbergerたちは今回、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、サブマイクロメートルの精度でWSe2単層にSPEを作った。彼らは、SiO2/Si基板上のポリマー層の上にWSe2を置き、この試料の所定の位置にAFMの探針を押し込んだ。WSe2単層がポリマー層に付着しているため、探針を戻した後もポリマーの塑性変形によってWSe2のくぼみが保たれる。その後のAFM測定によって、くぼみが作られていて、その形とサイズが加えた力と探針の形状に依存することが確かめられた。

次に著者たちは、フォトルミネッセンス実験を行った。その結果、最高60 Kの温度でフォトルミネッセンス強度の増大、明確な輝線、アンチバンチング挙動が見いだされた。こうした実験によって、くぼみのSPE特性が明らかになったが、今回の段階では光子源の正確な性質はまだよく分かっていない。

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