Research Highlights

集積フォトニクス:ひずみで周波数を制御

Nature Nanotechnology 2019, 119 doi: 10.1038/s41565-018-0351-4

量子光学の応用の多くで、単一光子を高度に制御して生成、処理、検出できる集積フォトニック回路が必要である。そのため、単一光子源、ビームスプリッター、ビームカプラーなどの構成要素の光学特性の非侵襲的な決定論的操作が望まれている。今回Elshaariたちは、ボトムアップ法とトップダウン法を組み合わせて、周波数同調を電圧で制御できる単一光子源と周波数フィルターを同じプラットフォーム上に作製している。

2つの電極に挟まれた圧電性基板によって、単一光子源の放射周波数とリング共振器の通過周波数が、ひずみを用いて制御されている。Elshaariたちは、圧電性基板上にSiN導波路のパターンを作り、ナノ操作によってその末端にInAsP/InPナノワイヤー量子ドットを配置した。次に、圧電層に電位差を印加してナノワイヤーを引っ張って伸ばした。放射周波数は、印加電圧に対して線形かつ可逆的に変化するとともに、数時間にわたって周波数安定性を示した。さらにElshaariたちは、通過フィルターとして利用できるリング共振器のパターンも同種の基板上に作った。圧電性基板によって加えられたひずみによって、リング共振器の通過周波数が変化した。これも、電圧に対して線形であった。今回の方法は、ワイヤーボンディングを避けて、圧電性基板上へパターンを直接作っているため、デバイスの波長安定性と精度が向上している。

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