Research Highlights

金属有機構造体:選択的な合成

Nature Nanotechnology 2018, 618 doi: 10.1038/s41565-018-0173-4

対称なジアルキンのアルキン部分を1つだけアジドと反応させることは、アルキン部分の両方が[3+2]付加環化反応を経てビストリアゾールを形成しやすいため困難であることが知られている。そのため、化学的に保護と脱保護を行う冗長な手順が開発されてきた。今回Huxleyたちは、ナノ容器として用いられる金属有機構造体(MOF)が反応経路に課す立体障害を利用して、対称なジアルキンをアルキン官能化トリアゾールに変換する直接的な合成方法を報告している。

まずHuxleyたちは、Mn原子が約13 å離れたMn系MOFを作製した。次に、個々のMnに結合している臭素原子をアジド基で置換して、MOFの細孔の内部にアジド基が等間隔で配置されている環境を作った。このMOFと短いジアルキンを反応させると、モノトリアゾールのみが生成された。これは、アジドの間隔よりジアルキンが短いためである。長いジアルキンを使うと、ビストリアゾールを含む混合生成物が見いだされた。最後に、著者たちは、臭化メチルを加えてアルキン官能化トリアゾールを置換して生成物を放出させ、Mn系MOFを再生している。

全ての反応が固体状態で進み、この過程を通してMOFの結晶性が維持されるため、反応の選択性を制御する信頼性の高い手法が得られたのである。

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