Research Highlights

窒素空孔中心:コヒーレントな遠隔制御

Nature Nanotechnology 2017, 917 doi: 10.1038/nnano.2017.194

室温での長いコヒーレンス時間は、ダイヤモンドの窒素空孔(NV)欠陥の特徴であり、スピンキュービットとしてこうした色中心を利用できる可能性を考えると、有利な特性である。この欠陥の量子状態の制御を、フォノンやマグノンを介して可能にするハイブリッドデバイスが、いくつか提案されている。しかし、NV中心と環境を結合する際の一般的な障害が、特性コヒーレンス時間の強い抑制である。これは、インコヒーレントな機構が支配的なことが多い、スピン波との磁気結合に特に当てはまる。

今回、Andrichたちは、スピン波モードを利用して、NV中心の長距離コヒーレント制御を実証している。著者たちは、イットリウム鉄ガーネット磁性薄膜を用いて、マイクロストリップ・マイクロ波アンテナによって表面スピン波を励起し、その後表面スピン波が伝搬するマグノンデバイスを作製した。NV中心を含むナノダイヤモンドもイットリウム鉄ガーネット表面に堆積され、外部磁場の複合効果の下でスピン波と共鳴結合した欠陥の量子状態の発展が、ナノダイヤモンドのフォトルミネセンスを測定してモニターされる。Andrichたちは、低出力のスピン波注入条件で、マイクロストリップアンテナから約100 μm離れたNV中心にラビ振動を生成し検出した。マルチパルス動的非干渉化プロトコルを利用して、欠陥の量子状態のさらなるコヒーレント制御が実証されている。

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