Research Highlights

摩擦帯電:柔らかい発電機

Nature Nanotechnology 2017, 717 doi: 10.1038/nnano.2017.143

環境発電機における体の動きによる発電には、変動する力学的ひずみの下での長時間にわたって安定した性能が必要である。摩擦電気ナノ発電機(TENG)は、力学的エネルギーを電力に変換するデバイスで、必然的に柔軟であるため、要求される機能性を満たすことができる。今回、Puたちは、柔らかくて伸縮性が極めて高い、皮膚上摩擦電気ナノ発電機(STENG)を作製している。このSTENGは、触覚センサーと環境発電機の機能を同時に果たすことができる。

導電体を用いて設計される従来のTENGとは異なり、今回の皮膚に似たTENGの電極は、イオン性ヒドロゲルでできている。典型的なSTENGでは、PAAm-LiClヒドロゲル層が、帯電層となるPDMSエラストマー層かVHBエラストマー層の間に挟まれている。このデバイスは、可視域で透明で生体適合性があり、元の長さの10倍以上まで破れずに伸ばすことができる。さらに、数千回の長時間動作サイクル後も、電気的な性能は劣化の徴候を示さなかった。エラストマーでヒドロゲルを包むことによって、脱水が妨げられ、0~60℃の温度範囲でデバイスの機能が維持される。この皮膚上の発電機が生成できる開路電圧は145 Vで、電力密度は36 mW m-2である。生体力学的エネルギーで発電する能力以外に、STENGは触覚センサーとなり、1.3 kPa程度の低い圧力を感知できる。

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