Research Highlights

磁気渦:クエンチによって生じる欠陥対

Nature Nanotechnology 2017, 417 doi: 10.1038/nnano.2017.79

凝縮物質では、構造的不均一性によって、秩序相内部におけるトポロジカル欠陥の核形成が促進される可能性がある。また、高速熱クエンチによって、構造無秩序がなくてもトポロジー特性が正反対の欠陥の対が生成されることがあり、これには、宇宙論的理論の予測と興味深い類似性がある。しかし、この後者のシナリオが数種の物質で実験的に検証されてはいるが、クエンチによって生じる欠陥対は磁性体ではまだ観測されていない。

今回、Eggebrechtたちは、Fe/Si3N4二重層において準安定磁気組織が生成されたことを報告している。持続時間が約100 fsのレーザーパルスを用いて、Fe層を局所的に加熱すると、μm2サイズの領域で強磁性体から常磁性体への転移が生じた。光パルスの照射後、Fe層の下のSi3N4基板に約1012 K s-1という超高速で熱クエンチが生じた。Eggebrechtたちは、ローレンツ電子顕微鏡法を用いて、レーザーパルス照射前後のFe層の磁場配位を画像化している。

レーザーフルエンスがしきい値より上でありさえすれば、空間的な対相関が液体に似た渦と反渦の密度の高いガラス状ネットワークが、クエンチに誘発されて生成されることが観測される。観測されたナノスケールの組織は、しきい値以下のレーザーパルスをさらに照射すると欠陥対の対消滅が促進されるにもかかわらず、数か月にわたって安定であった。

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