Research Highlights

スピン流:インコヒーレンスの有用性

Nature Nanotechnology 2017, 1017 doi: 10.1038/nnano.2017.214

強磁性材料における磁気モーメントの歳差運動を利用して、隣接する材料との界面を通して純スピン流を注入できる。こうした歳差運動は、強磁性共鳴条件下で外部磁場によってコヒーレントに誘起されて、いわゆるスピンポンピングをもたらし、また熱勾配によってインコヒーレントに誘起されて、スピンゼーベック効果をもたらす。こうした現象は幅広く調べられているが、注入過程に対する強磁性材料の結晶化度の影響は、まだ系統的に調べられていない。

今回、Changたちは、高周波マグネトロンスパッタリング法によって、ガドリニウムガリウムガーネット(GGG)、シリコン、ガラスというさまざまな材料上に成長させた絶縁性のイットリウム鉄ガーネット(YIG)薄膜について報告している。YIGの結晶品質は成長させる基板によって決まり、GGG基板の場合にのみ高くなった。次に、隣接する白金層へのスピン流の注入が、マイクロ波磁場や熱勾配の影響下で調べられ、白金層を横切る逆スピンホール電圧の検出を介して、この影響の大きさが定量化された。

その結果は、多結晶形態のYIG層では、スピンポンピング効率が強く制限されることを示している。しかし、熱励起のインコヒーレント性から、磁性体の結晶化度に対するスピン注入効率の感度がかなり小さくなるので、多結晶材料におけるスピンゼーベック効果の技術的応用が示唆される。

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