Research Highlights

人工膜:休みなく成長するリン脂質

Nature Nanotechnology 2015, 815 doi: 10.1038/nnano.2015.185

天然の細胞膜は、細胞複製中に成長する。リン脂質の合成を促進する触媒を2層構造の膜に埋め込むことによって、よく似た能力を持つ人工膜を作製できるが、人工膜が成長するにつれて、触媒の濃度が低下し、人工膜はさらに成長する能力を失う。今回、カリフォルニア大学サンディエゴ校(米国)のN Devarajたちは、リン脂質の形成を触媒するだけでなく、自己合成もできる触媒を開発した。

Devarajたちは、3本のアルキル・トリアゾールのアームに付着した第3級アミンを用いている。この化合物は、Cu+イオンと配位結合でき、配位結合すると、2目的触媒になる。この触媒は、一方では、アルキル・アジド3つとトリプロパルギルアミン前駆体1つからの自己触媒反応を促進する。その一方で、アルキル・アジドと、アルキン結合基を含む脂質前駆体からの新しいリン脂質の形成を触媒できる。この2つの反応は共に、触媒の構造内にキレート化したCu+が存在することによって促進される、アジド–アルキン反応というクリックケミストリーを通して触媒される。Devarajたちは、この方法を用いて人工膜の持続的な成長を実現し、臨界表面積に達すると小胞が形成されるのを観察した。

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