Research Highlights

ナノ導波路:ねじれた光ビーム

Nature Nanotechnology 2014, 514 doi: 10.1038/nnano.2014.99

軌道角運動量を持つ光ビームには、らせん状の波面があり、こうした光渦は、イメージングや量子暗号などの用途に役立つ可能性がある。しかし、典型的なレーザービームに角運動量を持たせる方法は比較的難しく、大きくて扱いにくい構成要素が必要で光回路に容易に集積できない。ニューヨーク州立大学バッファロー校(米国)のN Litchinitserたちは今回、直線偏光した光や円偏光した光を回転させて光学的角運動量を持つビームにできる、寸法の小さい導波路アレイを作成した。

らせん状の波面を作るには、ビーム面を1周すると位相が2π遅れるようにする必要がある。Litchinitserたちは、これを実現するためにまず、金属板を機械加工して半径数十ナノメートルの孔からなる単一の導波路を作り、それが入射光ビームに与える影響を調べた。その結果、この導波路によって位相遅延が生じ、その半径が大きくなるほど位相遅延も大きくなることが分かった。次に、位相遅延が2πになるように導波路の半径の円周分布を設計した導波路アレイを作成した。この導波路アレイによって変化したビームと参照ビームの干渉実験によって、このアレイが光渦を作り出せることが確認された。

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