Research Highlights

ヘテロ構造体:界面のスカーミオン

Nature Nanotechnology 2014, 414 doi: 10.1038/nnano.2014.78

LaAlO3/SrTiO3などの絶縁性酸化物ヘテロ構造体の導電性界面で、磁性が観測されている。しかし、その微視的な起源については、まだ議論の余地があり、局所的な磁気モーメントの形成から遍歴磁性まで、いくつかの説明が提案されている。ピッツバーグ大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(いずれも米国)、中国科学院のX Liたちは今回、磁性秩序を生じさせる特定の機構を問わずに、スピン軌道結合が弱いという仮定の下で、対称性の議論に基づく現象論的モデルによって酸化物へテロ構造体の磁性を説明できることを示している。

Liたちは、まず系の自由エネルギーを導き、次にそれを最小化して、スピン秩序化転移温度以下のさまざまな磁性相を特徴とする相図を見いだしている。この相図はかなり複雑で、面内強磁性相、スパイラル相、コーン相、スカーミオン格子相を含んでおり、それらの出現は現象論的な結合パラメーターgの強さに依存する。特に興味深いのは、このスカーミオン状態が、らせん磁性体MnSiなどの非中心対称性材料に見られるものとは異なっていて、幾何学的対称性と時間反転対称性によって守られる節点があることである。磁性実験と輸送実験によって、LaAlO3/SrTiO3ヘテロ構造体におけるこうした磁性相の存在が確認されるであろう。

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