Research Highlights

シリコンナノ粒子:レーザープリンティングで作る

Nature Nanotechnology 2014, 414 doi: 10.1038/nnano.2014.77

形状やサイズが制御された誘電体ナノ粒子は、共鳴光学応答を示すため、メタマテリアルやナノアンテナなどのナノフォトニックコンポーネントに用いることができる可能性がある。しかし、金属ナノ構造体を制御して製造する方法はあるが、同程度の制御レベルで誘電体ナノ粒子を製造するのは、まだ困難である。ハノーバー・レーザーセンター(ドイツ)のB Chichkovたちは今回、レーザープリンティングを用いて、特定のサイズのシリコンナノ粒子をガラス担体の決められた位置に作成している。

エネルギーが5 nJの50 fsの単一レーザーパルスをシリコン・オン・インシュレーター・ウエハーに照射すると、上部のシリコン層が局所的に融ける。この液状のシリコンが液滴となり、ウエハーから放出されて、5 μm上に置かれたガラス担体に当たる。この過程は、ガラスの上にアモルファスシリコンナノ粒子を1つ形成し、表面の別の場所を選択して繰り返すことができる。作成されたナノ粒子は球状で、用いたレーザーパルスのエネルギーに応じて、直径が160 nmから240 nmの間になりうる。さらに、このシリコンナノ粒子は、可視領域で強い双極子応答も示す。

その後、より強い(58 nJ)第二のレーザーパルスを用いて、アモルファスナノ粒子を結晶化させることができた。結晶化の範囲はパルスのエネルギーに依存する。この結晶性ナノ粒子は、アモルファスナノ粒子よりも強い光学応答を示し、さまざまな色を持つ。Chichkovたちは、このシリコンナノ粒子のサイズと結晶性を調整して、単一ナノ粒子の磁気双極子散乱と電気双極子散乱のスペクトルを制御できた。

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