Research Highlights

金属有機骨格:導電性のゲスト分子

Nature Nanotechnology 2014, 214 doi: 10.1038/nnano.2014.18

金属有機骨格(MOF)は、有機リンカーに結合した金属イオンでできたナノ多孔性結晶材料で、一般的には、ガス貯蔵、触媒作用、センシングなどの用途に関心が寄せられている。リンカー分子が絶縁性であり、リンカー分子と金属イオンの間に軌道の重なりがほとんど無いため、MOFは導電性が低いことが多い。サンディア国立研究所、国立標準技術研究所、メリーランド大学(いずれも米国)のA TalinとM Allendorfたちは今回、MOFの孔に共役ゲスト分子を付加して、導電性のMOFを作成できることを示している。

最初にAllendorfたちは、パターンを形成した電極表面に、HKUST-1と呼ばれるMOFの薄膜を成長させた。HKUST-1は、銅イオンと有機分子ベンゼン–1,3,5–トリカルボン酸でできている。この薄膜に、酸化還元活性分子7,7,8,8–テトラシアノキノジメタン(TCNQ)を含浸させると、薄膜の導電率が大きく増加することが分かった。TCNQの含浸時間を変えることで、この薄膜デバイスの導電率を6桁以上変化させることができ、約7ジーメンス毎メートルという高い導電率を実現できた。

Allendorfたちは、分光データとモデリングを用いて、この導電性は、MOFの銅サブユニットと結合し、銅サブユニット間に強い電子結合を形成するTCNQゲスト分子に、おそらく起因することを見いだした。さらに彼らは、この導電性MOFは、電子デバイスや再構成可能な電子機器に応用できる可能性があるとも示唆している。

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