Research Highlights

ポリマー鎖:2か所で折りたたまれる人工ポリマー

Nature Nanotechnology 2014, 1014 doi: 10.1038/nnano.2014.239

生体組織の機械的機構の基盤は、生体高分子が折りたたまれたり輪になったりする能力である。最近になって、予測できる形で折りたためる合成ポリマーから人工系を作る可能性が探究され始めている。直線状のポリマーを折りたたんでナノ粒子が作成されているが、複数の折りたためるドメインからなるポリマー粒子の作成はまだ困難である。シャルル・サドロン研究所(フランス)のR K KoyとJ-F Lutzたちは今回、2つのポリマー・サブドメインが互いに独立に折りたたまれたポリマーナノ粒子を合成した。

KoyとLutzたちは、ポリスチレンのスペーサーで分割された2つの化学的に異なる部分を含む、折りたためる単鎖ポリマー配列を作ることから始めた。両方の化学的に活性な部分には、分子内架橋反応を起こしうるN–置換マレイミド類が含まれているが、2つのドメインの内の1つでは、トリイソプロピルシリル基によってマレイミドが当初は保護されている。折りたたまれたナノ粒子を合成するために、1つのドメイン内の分子内架橋反応がまず誘起された。次に、もう1つのドメインを脱保護すると、そこでも分子内架橋反応が可能になり、2つの異なるサブドメインを持つナノ粒子が形成された。

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